空き家探索(7)-上方往来河原宿その6


河原宿T01家 第2次調査
7月20日(水)、5名で鳥取市河原宿T01家の第2次調査をおこないました。今回は土蔵1(南蔵)の東側に隣接するハナレ、土蔵2(西蔵)の北側に軒を連ねる裏木戸・味噌蔵の実測・採寸に加えて、フォトスキャン図を利用して屋敷の正面(街道側)と側面(小路側)の採寸にも取り組みました。
ハナレ: 私ともう1名は、南蔵に隣接するハナレ平面の実測・採寸を担当しました。ハナレは6畳の畳間の2方向に縁をめぐらせており、1・2階で柱の位置を揃える総二階形式の小さな「楼閣」です。縁の外側に障子はなく、雨戸のみと し、入 口は雨戸に建付けられています。茶室のにじり口を思わせる小ぶりの戸口。この戸口から室内に入り、縁の雨戸を開け放して二面開放とし、その全体が入口の役割を果たしていたと考えられます。内装は瀟洒な数奇屋であり、昭和戦前の建築と推定されます。2階の縁側には欄干があり、外側に1階と同じ雨戸を通しています。階段まわりの手すりは凝っていて、欄干と接続しています。実測前は南蔵付属の納屋だと思っていました。そういう地味な外観をしているのですが、中に入って驚きました。上下階とも六畳一間の客間であり、小振りの亭閣として注目されます。



実測図清書(ハナレ 1階・2階)


2階階段まわりの手すりと縁


裏木戸・味噌蔵: 他の3名は裏木戸・味噌蔵の平面・断面を実測しました。 裏木戸は棟門の梁間が長くなった形式で、ハナレの雨戸と同形式の引き戸が洗い場に近い側にあります。味噌蔵は大きな招き屋根で屋敷側の屋根が短くなっていますが、その部分にオダレ(庇)を増設しています。味噌蔵の中には、カマドや 古民具が残されていました。小屋組みには太径木を残していますが、裏木戸・味噌蔵ともに東側にあたる屋敷内の軒と庇が風雨で大きく劣化し、一部が崩落しているため、保存状況が良いとは言えません。



裏木戸・味噌蔵・ハナレ 断面図 裏木戸・味噌蔵 平面図 裏木戸小屋組


↑味噌蔵小屋組 ↓味噌蔵内部(カマドが残る)


建物の立面寸法は、前回のT01家調査の際に多重撮影を行い作成したフォトスキャンの立面図へと書き込んでいきます。
この日で学生の実測作業は終わりました。今後は一級建築士の方を招いて現場を視察し、再生案を考察する予定です。 (カキフライ)
《関連サイト》
空き家探索 -上方往来河原T01住宅
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2565.html
(3)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2570.html
(4)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2584.html
(5)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2586.html
(6)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2588.html
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実測演習 -カフェ黒田
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民家のみかた 調べかた
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(8)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1716.html
フォトスキャンを活用した文化遺産の分析
(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2010.html
上方往来を描く-河原宿
(6)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-824.html