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エスニック料理のフードスケープ(7)

1102エマダツィ完成01


エマ・ダッツィ復活

 10月27日(木)に1年生がブータン精進料理「蕎麦皮餃子ヒュンテ」「プタ-蕎麦パスタ」を試作し、とくにプタの味が薄いとのことだったので、ブータンの国民食である「エマダツィ」を付け合わせにしてはどうか、と提案がありました。エマはゾンカ語(ブータンの公用語)でトウガラシを意味し、ダツィとはチーズのことです(ブータンではヤク牛のチーズが一般的)。エマダツィの調理法はいくつもありますが、今回は過去のゼミ生が翻訳した料理本Autentic Bhutanese Cookbookのレシピに従うことにしました。11月2日(水)、滅私さんと私はエマダツィの試作に取り掛かりました。材料や手順は全て料理本の通りにし、できる限り再現しました。ほぼ1年ぶりにエマ・ダッツィが復活したことになります。


1102エマダツィ材料


《材料》↑
・トウガラシ6個(今回は鷹の爪で代用)  ・スライスチーズ3枚
・タマネギ1個  ・トマト1個  ・マーガリン大さじ2杯 
《レシピ》
 ①鷹の爪を縦に半分に切り、タマネギとトマトをそれぞれスライスする。②タマネギと鷹の爪を鍋に移し、1カップの水で3分間茹でる。③マーガリンを加え、3分間煮込む。④スライスチーズを加え、さらに3分間加熱する。⑤トマトを入れ、塩を適量振りかける。⑥トマトに火が通り、柔らかくなったら完成。
 *この時、ホットプレートを常に強火にしていたためか具材に早く火が通りました。


1102エマダツィ具材を切る


精進の戒律と五葷の部分的許容

 ブータン現地のトウガラシは日本の甘長唐辛子ほどの大きさ、もちろん辛さも強いです。そんな唐辛子は日本には存在しないので、恰好を再現するためにピーマンの半切か甘長唐辛子を入れるとよいと、とアドバイスされました。イベント当日は、ピーマン等を入れて見た目を再現しつつ鷹の爪で辛味を出していきたいです。また、精進料理は肉や魚だけでなく、五葷(ごくん)を使えないという基本が知られています。「五葷」とは、ニンニク・ニラ・ネギ・ラッキョウ・ノビル・タマネギなどの匂いが強いネギの仲間の野菜をさし、精が付く一方で、欲情や怒りの心をおこすとして禁じられています。また、動物が生み出す卵や乳製品も禁じられています。こうした戒律は、欧米におけるヴィガン料理と通じるものですが、同時に欧米ではライトベジタリアンの考えがあり、乳製品やタマネギなどを許容する場合もあります。



1102エマダツィチーズ入れる チーズを絡める


 今回の「精進」では、以下のような原則を設けることにしました。
1)和風味付けのブータン蕎麦では、出汁に鰹節・鯖節・イリコ等の動物性うまみはいっさい使わない。
2)トッピングにネギは使わない。ミツバ、シソ、パセリなどを用いる。
3)ボルシチやフォーには鶏肉やチキンスープは用いない。野菜ブイヨン等で対応。イタリアン精進や精進カレーを参照。
4)エマダッツィやボルシチでタマネギまで排除すると、味覚にこくがでないので、タマネギだけは味付けに用いる。
5)バターは用いず、マーガリンを使用。チーズは許容する。

試食して

 率直に、喉に焼け付くような辛さで思わず叫んでしまうほどでした。マーガリンやチーズをかなり使っていたのでそこまで辛くないだろうと甘く見ていましたが、ヒリヒリ、チクチクと舌を刺激するような感覚に襲われました。滅私さんやほかのゼミ生たちもみんな「辛い、辛い」と口にしていました。鷹の爪を種まで全部入れているのが効いているのでしょう。しっかり味わってみると、濃厚なマーガリンとチーズの風味に、鷹の爪の辛さが良いアクセントになっており、そこにタマネギの甘味とトマトの爽やかさが絡み合っていてとても美味しかったです。先生にも食べていただき、やはり「辛い」とおっしゃっていましたが、ブータンではもっと辛いし、辛くないと淡白なプタにあわない、と言われました。
 今回の試作は過去のブログを参考にしていますが、当時は鷹の爪をレシピより5本ほど多く入れていたそうです。そのため、今回も鷹の爪を多く入れようと滅私さんに提案されたのですが、私の「まずは調理本の味が体験したい」という意見を飲んでいただきました。私は元々辛い物が得意ではなく、今日はそれを中和する米や蕎麦パスタもありません。そのため、自分としては今回のところはこれで良かったと思いましたが、当日プタと合わせるなら鷹の爪を増やしてみても良いのかもしれません。今度は、ケワダツィにも挑戦してみたいです。(先端)


1102エマダツィ塩で味つけ 塩で味を整える


《連載情報》エスニック料理のフードスケープ
(1)プロ研始動 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2632.html
(2)フォーとボルシチのレシピ http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2633.html
(3)ブータン精進-プタとヒュンテのレシピ http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2634.html
(4)ボルシチのフォー 試作(1) http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2640.html
(5)ブータン蕎麦のきつね味-精進の苦悩 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2641.html
(6)プタとヒュンテの試作(1) http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2642.html
(7)エマダッツィ復活 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2644.html
(8)ブータン蕎麦のきつね味-精進の苦悩(2) http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2646.html
ウクライナの風に吹かれて
(15)環謝祭に出店-ごちゃまぜBOX http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2627.html

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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