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古民家カフェと郷土料理のフードスケープ(4)

1102カフェ黒鯛(2年)02スケッチ風景02夕暮れ 1102カフェ黒鯛(2年)02スケッチ風景02 釣べ落し


郡家のカフェ黒田でプロジェクト研究(2年)

 11月2日(木)、第5回プロ研(2年P4)の活動として、郡家の古民家カフェ「カフェ黒田」を訪問し、ミニ講義聴講と古民家スケッチの活動をしました。講義は、先週のP2(1年)と同じく、10月21日に上海で講演したばかりの「古民家再生の新機軸-過疎地に探る居場所のあり方」を2年生にも講じました。課題の問は1年次と似ていますが、やや変えています。

問1 浅川の講義「古民家再生の新軸線」について、以下の視点から内容を記述し、感想を述べなさい。
 (1)古民家再生にあたって考えるべき真実性(オーセンティシティ)と快適性(アメニティ)との関係性
 (2)カール・ベンクス夫妻とクンサン・チョデン夫妻の類似性
 (3)過疎地の「居場所」としての古民家もしくは再生古民家
問2 カフェ黒田を訪問した感想


1102カフェ黒鯛(2年)01 講義室となった書院造の和室


カールさんと大谷翔平くん

 ところで今回、わたしは講義で初めて、大谷翔平くんのことを口にしました。カール・ベンクスという建築家が限界集落で成し遂げたことは、百年に一度の奇跡であり、カールさん以外の人物ではなしえなかったと思っています。内閣総理大臣賞をもらっても奢ることなく、竹所の自治会長を務めている。こんな建築家がいるでしょうか。では、いったい誰に匹敵するほどの人格・業績か考えてみました。ブッダの化身だと言えば、チベット・ブータンでは説得力があるかもしれません。もう少し分かりやすい人物をあげるとしたら、大谷翔平くんであろうと思ったのです。大谷くんは百年に一人出るか出ないかの野球選手だと言われています。人柄もひょうきんでおもしろく、なにより謙虚な人柄に惹かれます。わたしはもう何年も、ほとんど毎日、大谷くんのプレーをテレビでみています。家内もみて喜んでいます。こんなスポーツ選手はちょっといない。ファッションに狂って田舎者丸出しの有名サッカー選手どもが恥ずかしくなる。今日の昼には、久しぶりにカールさんの事務所に電話を入れました。卒論で古民家再生に取りくむ4年生が竹所・松代を訪問したがっているので、秘書の方にスケジュールを訊ね、また上海の講演でカールさんの取り組みを紹介したことを告げ、その後、論文データをメールで送信しました。学生が無事カールさんに会って、叶うならば、カールさん設計のゲストハウスに宿泊できることを祈っています。


1102カフェ黒鯛(2年)02スケッチ風景01 洋風ダイニングにも古い柱が残る


帰るべき故郷としての居場所

 《問1》 (1)古民家再生にあたって考えるべき真実性とは、どれだけ元の古民家の形や材が残っているか、ということである。古民家は現代の建築物に比べると断熱性能などの面でも住みにくい家といえる。そこで、人にとって住みやすい家にするための快適性に重きを置くと、屋根や柱などの家全体の構造も変えていかなければならない。そうなると元の古民家の真実性は失われてしまう。つまり、一般的に快適性を重視するほど真実性は失われていく。古民家を残すということは当時の文化を残すという面で大事にされていくべきものである。しかし、そのままの形で残したとしても人が住んでいけるものではないうえに、その地域の過疎化が深刻になっていくなどの問題をはらんでいる。古民家再生に当たって真実性と快適性のバランスが重要になってくる。この点においてカール・ベンクスさんはすごい人だなと思った。元の家の使える部材や建具を最大的に再利用し、さらにハーフティンバーなどの異なる文化とうまく調和させて快適性の面でも良い家をつくる、ということを成し遂げている。これらの活動が実際に村に人を呼び寄せている、という点もすごいと思った。
 (2)カール・ベンクス夫妻、クンサン・チョデン夫妻のどちらも自分が骨を埋める覚悟をもった大切な居場所に住んでいる点で類似している。また、その居場所のために奮闘しているところもそうだといえる。居場所は自分にとって帰るべき場所(故郷)であり、心の支えともなるものだ。建物としての居場所や存在面での居場所があるが、これらの居場所を持つことは自分にとって大切なことなのだと思った。自分を肯定してくれる存在や心地よいと思う場所は生きていくうえで必要なものだと思う。


1102カフェ黒鯛(2年)02スケッチ風景03 書院造を描く



 (3)過疎地での古民家を再生するということは、その土地の風土を愛し、文化を守ることにつながる。古民家を再生することで人がやってきて過疎問題の緩和にもなる。竹所のように観光を拒絶してコミュニティを強化するような集落もある。これは人とのつながりとしての居場所をつくることに重きを置いているといえるだろう。過疎地での再生古民家は、場所として、人とのつながりの中で、住みやすく心地がいい居場所を作ることにつながる。カール・ベンクスさんの例でもあったように、古民家を再生することで村が活気づき、人が多くやってくるようになる。これは多くの人が自分にとっての居場所を求めていて、それは都会などの場所ではなく、つながりが大切にされているような過疎地であるからこそだと思った。
 《問2》 カフェ黒田の外観は本当に普通の民家であり、初めはここがカフェだと感じなかった。玄関をくぐると、家に入るように靴を脱ぎ、見えたのは外観そのままの雰囲気を残した畳の空間と縁側、奥にモダンな雰囲気のあるキッチンとダイニングだった。靴を脱いで、まるで家のような空間に居る、ということはそれだけで落ち着くことができた。お店の女将さんはかしこまった感じではなく優しかった。モカバナナロールは甘すぎずにおいしく、素朴な味がした。現代化したダイニングに古い柱が残っていたりしていて、和と洋がいい具合に調和していてリラックスしやすいような空間になっていた。全体的に落ち着きやすいカフェであり、古民家という特性が生かされているように感じた。このようなカフェは一人で物思いにふけったり、おしゃべりするのにもゆっくりとできる場所としての古民家カフェの可能性を感じた。(環境2年YM)


1102カフェ黒鯛(2年)12教師01 1102カフェ黒鯛(2年)10おやつ02 教師と主人


真実性をものにして快適性も向上させる工夫

 《問1》 (1)まず、環境大学の近隣に所在する「福田家住宅」は、17世紀建立と推定され、継続的な維持修理が施され、近年はほぼ常時公開されている。公開が可能になったのは、居住者が新居に引っ越したからである。古態を残す重文民家は、文化財建造物としてのオーセンティシティに充ちているが、現代生活にみあう改装を禁じられており、住まいとしてのアメニティの向上が難しい。このように、国の重要文化財などを保とうとすると、人が快適に暮らせなくなり、出ていかざるを追えなくなる。重伝建の制度では、民家等建造物の内部の改装は自由であり、それにより、内部のアメニティの向上に期待が持たれた。しかし、オーセンシティとアメニティの矛盾が解消されたわけではない。一例として、兵庫県丹篠山市の重伝建「篠山」の蕎麦屋は、外観は旧城下町にふさわしい2階建の土蔵造である。しかし、中に入ると、新建材のパネルで壁や天井が覆われており、オーセンティックな和風木造の内部空間は失われていた。このように、自由に内部を改装してしまうと、文化財建造物のオーセンティシティを喪失しかねないという危険性がある。快適性を高めると、真実性・魅力が薄れる。一方で、畳はバリアフリーの障害となる。バリアフリー・ユニバーサルデザインなどアメニティを高めることにはならない。登録文化財も内部改装が自由であり、大型の町家をホテルに改装している例では、畳を全部はがし、フロアを敷いてアメニティを高めていた。真実性と快適性を両立することが難しい中で、カール・ベンクスさんの古民家再生の挑戦がすばらしいと思いました。特にすばらしいと思ったのが、ガラステーブルの脚部に囲炉裏の基礎石を転用していたところです。古民家再生にあたって、真実性と快適性を両方高めるのは、非常に難しいことだと思いますが、カール・、ベンクスさんの自邸のように真実性をものにして快適性も向上させるという工夫がとても重要なことだと思いました。
 (2)カールさん夫妻は、たまたま訪れた異国の山村に惚れ込んで移住し、クンサン・チョデンさんは、長い海外生活の後、自分の居場所は故郷にしかないという想いを強くして帰郷した。過疎の山間集落こそが自分たちの「終の棲家」だということを、かれらはすでに悟っている。そこは、なにものにも替えがたい「居場所」であり、かれらはその地や風景や古民家での生活を愛している。クンサン・チョデンさんのように一度、外国に出てみないと分からないことがあるので、そこであらためて自分の居場所を見つけることが出来たり、自分は、ずっと鳥取に住んでいて都会で暮らすことに憧れますが、カールさん夫妻のように山村に惚れ込んで移住してくる方もいると思うので、その人それぞれにふさわしい居場所があるんだと分かりました。いろいろな地に行ってみたいと思いました。


1102カフェ黒鯛(2年)02スケッチ風景04 縁側を描く


 (3)日本海側の過疎地は、人口流出によって活力が失われ、そこに住む人たちの誇りや活力が薄れている。しかし、もともと自然と文化の豊かな地域であり、カールさんの古民家再生でもあったように、野原の草刈りや冬の雪掻きなどの共同作業や、クリスマスパーティー、山菜パーティー、盆踊りなど村人総出で多くの活動を行うなどやり方を工夫すれば、人間の「居場所」となることができる。過疎地でもこのような工夫をすることで居心地の良い場所になったり、移住したい人が増えたりすることができると分かりました。外国から移住してきたカールさんが古民家再生としてこのようなことができたのはとても素晴らしいことだと思ったし、人柄の良さも伝わってきました。
 《問2》 今回、カフェ黒田に初めて行かせてもらいましたが、昔ながらの伝統的な民家をカフェとし活用していることでとても落ち着く空間だなと思いました。レトロな外観や内装の良さがそのまま残っていて、風情があってとてもよかったです。私は、普段からいろいろなカフェに行くことが多いのですが、ずっと古民家カフェに行ってみたいと思っていたので、今回とても良い機会になりました。オーナーの方も、とても優しくて、おやつもとても美味しかったです。古民家だからこそとても落ち着く空間で余計に美味しく感じました。私は、カフェ黒田の外観をスケッチしたのですが、周りに木がたくさん生えていたり、豊かな自然に囲まれていて、古民家カフェは、このように自然を楽しむこともできるんだということが分かりました。とても素晴らしい場所だと思いました。(経営2年YH)


1102カフェ黒鯛(2年)11背面全景01 主屋背面(庭側)

《関係サイト》
1.東鯷人ナマズ屋 チラシ予告
(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2672.html
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2674.html
2.東鯷人ナマズ屋 環謝祭
14日(土)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2678.html 
15日(日)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2679.html 
3.P2&P4「古民家カフェと郷土料理のフードスケープ」
(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2671.html
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2680.html
(3)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2705.html
(4)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2708.html
(5)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2734.html#more
(6)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2768.html
(7)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2770.html
(8)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2775.html

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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