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菅原遺跡報告書批評のための習作(4)

隅切瓦は1981年検出の方形基壇建物と関連づけるべき

 上海講演の論文等をすでに20名以上に配っていて、そのお礼のメールが一通、昨日(13日)届いた。結構有名な西日本の考古学者からである(立石寺に登った匿名希望の考古学者は東日本在住)。菅原遺跡も訪問されている。同遺跡円形建物の復元について、大変示唆に富む指摘があったので、ここに引用させいただく。
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昨日ようやく元興寺でやっている菅原遺跡展を見てきました。あの遺跡が保存できなかったのは返す返すも残念です。円形建物復元のASALAB説と元文研説の相違は多々ありますが、上層の屋根形態を正方形にするか八角形にするかが大きな違いでしょう。建物の復原に関する展示の説明文で理解しがたい点があり、報告書を購入して読んでみましたが、特に屋根形態の根拠は、出土瓦の法量・形態によるとしています。正方形の根拠は45°の隅切り平瓦の存在なんですが、45°の隅切り平瓦は2020年度調査地では出ていないにもかかわらず、1981年の奈良大調査地点の出土瓦(方形基壇建物の周囲で出土)が、2020年調査地点からの流れ込みで、本来2020年度地点で用いられたとみなして立論しています。しかし両地点は50mも離れており、相当無理な話。1981年度地点での45度の隅切り平瓦の出土状況を再検討する必要がありますが、1981年度地点での出土瓦は方形基壇建物の周囲に集中的に出ているようですから、やはり方形基壇建物の屋根に葺かれ、その建物が正方形だったとする根拠に用いるべきでしょう。
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 きわめて論理的で妥当な解釈である。50mも離れた地点で出土した小型瓦(とくに45°の隅切瓦)を円形建物に用いたとするのは甚だ非論理的な恣意的思考であり、1981年度に検出された方形基壇建物で使われたとする見方が普通に正しい。このような正当的意見は今の奈良では例外である。嬉しくて仕方ないので、恐縮ながら、匿名で引用させていただいた。この方形基壇(1981発見)に木造層塔のような方形屋根の建物が建っていた可能性は十分あるだろう。こういうのを「可能性が高い」というのである。木造層塔とは限らないが、方形の二階建以上ならば、隅棟の鬼瓦が6点出土している点についても、なんら問題なく、第一次大極殿で不採用とした「稚児棟」を菅原遺跡円形建物で採用する必要もなくなる。敦煌壁画で稚児棟が描かれているので日本でも使ってよい、といういい加減な根拠をでっちあげるまでもなく、問題は解決するのだ。

 この考古学者は、当方の八角円堂案と隅切瓦の関係も気にかけている。フェアな精神である。
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一つ質問なんですが、八角形屋根の瓦葺の場合、67.5°の隅切り平瓦を作るんでしょうか? 隅棟の熨斗瓦の下に差し込むから角度はアバウトでも良いんでしょうか? 一般の方形屋根でも入母屋、寄棟では、45°にならない場合もあるでしょうから、現場での打ち欠きで適当に作るのかなという気もしますが。
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 正直にお答えすると、これまで歴史時代の建物を復元するにあたって、隅切瓦の存在をほとんど気にしたことがない。現場あわせでどうにでもなると思っているからか、無頓着でありすぎた点は反省しなければならないが、逆にいうならば、隅切瓦を復元の根拠にした経験がないので、その点でも、元文研が有力な根拠として隅切瓦を持ち出した点、違和感を覚えている。【続】



《連載情報》 菅原遺跡報告書批評のための習作
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《関係サイト》
大僧正行基の長岡院に関する継続的再検討《2023年度卒論中間報告》
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2675.html
行基と菅原遺跡に係る意見交換@松山(8月)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2686.html
寧楽徘徊(Ⅱ)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2704.html

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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