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崖と建築のヒエロファニー 三徳山《日本遺産》フォーラム(報告9)

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 今夜から3年生の三徳山レポートを追加しようということになり、ゼミで活動しましたが、なんだ2年生の方が出来がよいではないか、と感じるところもあり、3年を中心にしつつ2年のレポートで補足します。

投入堂の春と秋

 私は2回目の投入堂登拝ということで、B班の引率として登山に挑みました。 前回登ったのは7月で緑が生い茂っていました(上左の写真)。夏の始まりでとても暑かったですが、友人と二人で投入堂までたどり着くことができました。今回は秋の紅葉が美しく、森も地面も赤や黄色の葉が溢れており、秋を感じる登山ができました。天候は良いとは言えず、時々小雨が降りましたが、登山中止にならず良かったです。2年生の班長のS君は体力があり、生徒をまとめるのが上手く、とても頼りになりました。文殊堂に登るための鎖と足場が雨でぬれていてとても滑 りやすく危険だったので、時間がかかりました。2年生が頑張っている姿を見ながら、3年のDさんと文殊堂からの景色を満喫しました。フォーラムに参加しなければならないということでB班は文殊堂までの登山となってしまいました。上右の写真はA班が撮ったものです。せっかく上ったので投入堂までみんなを連れていきたかったです。(3年B班 山女ラニー)


79FDD7EF-62F5-43A1-AB6E-F7B3841EBBFD.jpg 文殊堂からの景色


わらじでリフレッシュ

 私は今回、初めて三徳山を訪れ、B班として2年生の引率の手伝いを担当した。 三徳山に到着してから念入りな靴のチェックが行われた。靴底が滑りやすいと判断されたため、わらじを履いて登った。平坦な道は少なく、雨が降っていたことで、わらじを履いた足の裏は冷たく水がしみ込んでいた。しかし、わらじを履いていて怪我をすることもなく、いつもと違う靴でとても新鮮な気分だった。登山中はふだん交流する機会がない2年生とも会話し、楽しい雰囲気で登り、あっという間に大きな岩の前まで来た。時間の関係でB班は投入堂まで行くことはできなかったが、久 しぶりに山に登ったことで、美しい紅葉を見て自然を堪能することができた。下山する際も2年生が揃っているか確認し、怪我をしないよう慎重に下山した。自然に囲まれて登山をした後のお昼ご飯は格別に美味しかった。今回、日本一危険な国宝と言われる三徳山の奥の院を経験し、自然の厳しさの中で修行する辛さと美しい景色を見てリフレッシュすることができた。 (3年B班 シーサンパンナ)


三徳山わらじ2 三徳山登山で履いたわらじ



仏教の多様な柔軟性:フォーラムを聴講して

 講演①眞田「崖と岩陰と懸造-三徳山三佛寺を中心に」: 私たちのグループ(B班)が今回の登山で見たのは「文殊堂」で、更に奥へ進むと「投入堂」を拝むことができると知りました。そして、これらの建築物は皇族・貴族の住宅を模したようなつくりをしており、非常に特徴的であるということが分かりました。また、建物に至るまでの登山道の険しさも相まって、個人的にも三徳山が特異的な空間であると感じました。そんな三徳山が霊山であるのは、水に関連しているゆえであり、大山が信仰の山とされているのに対して三徳山は修行の山という意味で重要視されてきたということを知りました。このように霊山という概念が多義的なものである理由として、歴史的背景や地理的な要因などが複合的にヒエロファニーというものを形成しているからなのだと思いました。

 講演② 浅川「瞑想・礼拝と他界-日本・中国・ブータンの崖寺」: 主にヒエロファニーの観点における山などの存在の重要性について学びました。特に、投入堂などの懸造り仏堂は洞穴のような自然物と調和して神秘的な様相を呈しており、信仰と自然物の強い繋がりについて知ることができました。また、懸造り仏堂は日本以外に中国やブータンでも見られ、臨死体験を得る空間として修行の場として用いられていたことと、崖のような自然物は彼岸と此岸の境界及び入口として捉えられていたことが分かりました。そして、仏教は日中やブータンなどの土地に合わせて、独自の形を得ており、日中の懸造り施設が祀堂の役目を担っているのに対し、ブータンの懸造り施設は僧侶の修行場に該当することも知ることができました。私が教授の講演の中で最も印象に残った内容は、この「地域と仏教の相関性」についてです。日本の仏教が「ガラパゴス仏教」扱いをされているように、仏教と一口に言っても、自然環境や歴史的経緯などの状況によって細かな差異が存在するのだということを学ぶことができました。そして、それらの違いは仏教建築にはっきりと反映されているゆえに、建築と信仰の関わりの深さについても理解することができました。今回は仏教の話がメインでしたが、日本国内にも仏教以外に様々な信仰の種類があるので、それらの教えが建物にどう反映されているのか興味を持ちました。

 講演③東「ブータンのボン教/非仏教系遺産-山寺クブン寺と秘境ベンジ村を中心に」: 主にブータンで信仰されているボン教について学ぶことができました。チベット仏教圏では非仏教系の土着信仰が盛んであり、ボン教は仏教以前の体系的宗教の一つであるものの、仏教化の進行によってブータン国内においては消えつつあるという現状を知りました。そして、そのボン教と繋がりのある「クブン寺」と「ベンジ村」の二ヶ所に関する調査の結果、信仰されいた神々の軋轢や合一、ボン旗の儀式などの非仏教に関連する情報が多く得られたということが分かりました。それらの情報の中で私の印象に残ったものは、仏教とボン教の併存についてです。現地の人にとって、仏教は高尚な哲学といったニュアンスが強く日常生活とは程遠いものであると捉えられている一方、ボン教は日々の厄災を遠ざけるという意味で比較的身近なものであるため、このような棲み分けができているところに仏教のチベット化を感じさせられました。教授の講和の感想でも触れましたが、仏教の各地域に対する適応化は驚愕に値するものであり、宗教というものの柔軟性について学ぶことができました。また、仏教化が著しい今であっても、特定の地域内で信仰が続いているのは、それほど信仰と地域の特色に深い関連性が存在するからなのではないかと思いました。

 講演④陳「台湾の巌(岩寺)と霊山」: 主に台湾における仏教と土着信仰の融合の過程について学ぶことができました。中国に仏教が伝来した後は、霊山が仏教の信仰及び修行の場所となり、洞窟の近辺には「巖」という仏寺がつくられましたが、台湾に仏教が伝わった時には巖が洞窟を持たずつくられたという違いがあることを知りました。そして、このような違いは、台湾で仏教と仏教伝来以前の信仰の相互干渉の結果生じたものだと分かりました。前の二人の発表と共通するところですが、台湾においても仏教の柔軟性及びその性質ゆえに生ずる独自性が垣間見えました。さらに、中国内において石窟寺院が人工的な窟であるのに対し、巖の自然の洞窟という差異が、仏教と道教という信仰の違いを明確に物語っていて、自然物に対する捉え方や、人間の干渉の程度といった細かな要素も、信仰を区分する重要な点になるのだと知ることができました。私は外国はおろか自国の信仰に対してもろくな知識を持っていませんが、信仰の違いによる自然物への意味の見出し方の差異について少し興味を持ちました。

 コメント①サムテン・ドルジ 「ブータンの僧院-自分を見つめなおす場所」: ブータンの仏教のユニークさと、建築や芸術との関わりについて学ぶことができました。ブータンの寺院などの建物は、須弥山を象徴する中心寺院を中心とした仏教の宇宙観を再現するつくりになっており、加えて彫刻などの芸術も再現に大きく貢献していることを知りました。そして、これらの独特な補助具から形成される空間は、より深く自身と繋がる場を創出すると考えられているのだと分かりました。これらの情報により、ユニークな建築などは信仰にとって、寧ろ安定的な空間をつくり上げる意義を持ち、その空間でこそ瞑想などの行いが可能であると知りました。それゆえ、宗教にとって建物はいわば欠くことのできない基盤であるのだと認識することができました。

 コメント②小林「密教系霊山と両墓制-三徳山三佛寺・喜見山摩尼寺と宝珠山立石寺」: 最後に、小林さんの講演では、主に両墓制とは何かについて学ぶことができました。日本においては、「葬る」ことと「祖霊を祀る」ことを分離させており、単に葬る埋墓に加えて、霊を慰めるための詣墓の2種の墓が存在することを知りました。そして、山などが祖霊祭祀の場となっていたという事実は、ヒエロファニーと墓さえもがつながりを持つということを示唆しているのだと分かりました。そして、私がこれまで目にしてきた一部の山は、命を巡らせるための神的な存在とされてきたことに気づき、日本人と自然物の一体感の強さを再認識することができました。また、自身にとって墓というのは単に「死体を埋める場」としか考えていなかったため、視野を広げる良い機会になりました。(2年B班CA)


【確定_印刷用】三徳山フォーラム要旨集_page-0001 【確定_印刷用】三徳山フォーラム要旨集_page-0002 【確定_印刷用】三徳山フォーラム要旨集_page-0003 【確定_印刷用】三徳山フォーラム要旨集_page-0012 日本遺産フォーラムの表紙・趣旨・プログラムと最終頁の広告


《連載情報》崖と建築のヒエロファニー 日本遺産《三徳山》フォーラム
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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