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鳥取県東部のナレズシ(2)

 4月18日の歴史遺産保全特論授業で輪読した加藤隆昭[1991・1992]の感想文が集まりましたので、匿名公開しておきます。

ナレズシと歳神信仰、疱瘡信仰

 4/18の授業では、ナレズシの起源と鳥取の千代川周辺のナレズシの歴史について知見を得ることができた。鳥取では保存食であり、行事食でもあるということであった。この中で私が特に興味を持ったのは、ナレズシと歳神信仰の関係だ。八頭郡一円では多くの場合「米の神」「農業の神」として信仰されている[加藤1991]、と配布資料の論文にはあった。しかし、アユズシ、サバズシどちらを取っても、食する主体は魚であり米ではない。私はこの「米が主体ではない」ということが気になった。というのも、幼少期に「米粒1つ1つには神様が宿っており、無駄にすると罰が当たる。」といった教育を受けており、米にかかわる神に供える物であるのに、ナレズシを作るにあたって大量に米を使用するが、食するのは一部であるというのは「もったいない」と考えることはなかったのだろうかと思った。そこで、鳥取の歳神信仰について調べたが、なぜ魚を供えるのか、ナレズシを供えるか等、詳しいことはわからなかった。
 しかし、鳥取県東部地方の「ナレズシ」について(その1)に書かれていた歳桶については鳥取県庁が管理運営する公式ウェブサイトに1999年1月5日撮影の「八頭郡の歳徳神」という動画が公開されている。この動画では八頭郡の歳神信仰の特色である歳桶の中に入れて供える物、歳おろしの作法等が解説されている。動画内ではナレズシに関する言及はなかったが、「八頭郡では、現在でも昔ながらの祭り方がよく残されている」とあった。
 また、「正月の疱瘡神祭祀」[石垣2023]によると、八頭郡若桜山中では、大部分は民家の出居や座敷の表、中には歳神の横などで木地または麹蓋の上に小さく豆粒大の餅を2個重ねて供える。とある。なぜ豆粒大なのかは供え餅が大きければ大きな疱瘡にかかるという信仰による。疱瘡神祭祀は日本各地に広がる信仰である。多くの場合、歳神よりも劣位にまつる。疱瘡神にはナレズシを供えないということからも、八頭郡ではナレズシはごちそうで、最高のもてなしであるという価値観を表しているのではないかと考えた。(M1 SM)

《参考文献・サイト》
加藤隆昭(1991)「鳥取県東部地方の”ナレズシ”について(その1)-千代川の上・中流域における事例・分布域・食制の確認を中心として-」『鳥取県立博物館研究報告』第28号
石垣絵美(2023)「正月の疱瘡神祭祀 The Smallpox Goddess Worship on New Year in Japan」『 國學院大學学術情報リポジトリ』2023.
「正月行事」 鳥取県・とりネット. https://www.pref.tottori.lg.jp/265709.htm, (参照 2024-04-24)




山間上流域ではナレズシの材料がいつから海水魚に変わったのか

 輪読した加藤[1991]では、アユを使用したナレズシがアユの漁獲量の多い智頭川中流域周辺で多く見られ、アユの漁獲量が少ない上流域ではサバやサケ・マス類などを使用したナレズシが多く見られることがわかりました。本文には記載されていなかったのですが、アユの漁獲量が少ない地域では、いつから淡水性の魚類から海水魚に切り替わったかが気になりました。
 加藤[1992]では、平成3年の佐治村におけるナレズシ作りのアンケート調査が記載されていました。特に興味を惹かれた記述として、歳神さんにすしを供える理由の8割が、「わからないが昔から供えているから」というものだったことです。理由がわからない行事が継続して続けられているという点に驚かされました。 (4年 SS)


《関係サイト》
1.鯰のナレズシ 早くも試作
(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2828.html
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2829.html
2.鳥取県東部のナレズシ
(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2826.html
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2825.html
(3)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2830.html
(4)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2831.html
3,ナマズ食の文化史的再評価と郷土料理としての復興
(1)採択 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2787.html
(2)表彰 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2813.html
(3)2024大学院歴史遺産保全特論 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2822.html
4.東鯷人cafe(第1回)満員御礼
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2796.html
5.ナマズ食に係る活動記録-2023年度前期「歴史遺産保全特論」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2700.html
6.東鯷人ナマズ屋 環謝祭
14日(土)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2678.html 
15日(日)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2679.html

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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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