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近世木造建造物の科学的年代測定に関する基礎的研究(Ⅱ)

0709正善院01表門01調査前01 0709正善院01表門01調査前02遠景01


三徳山正善院古材年輪サンプルの採取

 7月9日(水)、三仏寺正善院を訪れ、古材の調査をしました。ご存じのとおり、2012年3月9日に正善院の庫裡は火災で全焼し、昨年から進められている復元設計に資するため、焼け残った古材の調査をおこないました。焼け残った正善院庫裡向拝(虹梁・蟇股・三斗組等)は表門背面に保管されていますが、その表門の部材とよく似ています。
 まず虹梁型頭貫を比較すると、庫裡の材は長さ3800mm×成390mmで×幅153mmで、表門背面の材は長さはほぼ同寸、成402mm×幅157mmで近似しています。まず年輪数を確認するため、庫裡虹梁の木口にマチ針を刺していきました。結果、総年輪数は67でした。放射姓炭素年代測定(ウイグルマッチング)の最低年輪数とされる50年輪はなんとかクリアしていますが、年輪年代測定には少し足りないようです。今回は、実習を兼ねて、3年生にサンプル採取を任せました。1~3、32~35、65~67年輪目のサンプルを採取し、アルミでくるんでジッパー付きのビニール袋に収めました。材種は不明ながら、結構硬かったため、サンプル採取に苦労したようです。


140709三仏寺正善院サンプル02 140709三仏寺正善院サンプル06


 このほか、直径270mmの庫裏の土間材(ミズメザクラ?)をノコギリで輪切りにしてマチ針を刺していきました。全37年輪でサンプルとしては良い状態とは言えませんが、AMS用に外皮から3年輪分採取しました。


0709正善院02庫裡05厨房炭化材02断面01 0709正善院02庫裡05厨房炭化材


140709三仏寺正善院サンプル01 140709三仏寺正善院サンプル03b 


 時刻は夕方5時に迫ろうとしていましたが、最後に成長錐を使い、マチ針を刺した炭化した庫裡向拝絵様の中心部分のコア採取に挑みました。マチ針を打った木口面では髄が中央ではなく右下に寄っていたため、年輪数60以上を数えましたが、反対側の木口では髄はほぼ断面の中心にあります。今回、成長錐を打ち込んだのは虹梁中央の下面からです。これまで成長錐はなんどか練習で使用してきましたが、本番で用いるのは初めてだったため、慎重に作業を進めました。材が硬いのでうまく歯がくい込んでいきません。先生や4年生に手伝ってもらいながらハンドルを回していきました。200回くらい廻して、ようやくドリルがくい込んだという感触を得ました。そこからドリルは内側に入っていきましたが、下面から19cmのところで動かなくなりました。髄にあたった可能性があります。


0709正善院01表門05記念撮影


 これ以上無理に回すと成長錐を破壊してしまう危険性があると判断し、そのまま無理をせず、サンプルを抜き採りました。今まで、サンプルを抜くところで、ポロポロと細切れになり、きれいなサンプルが採取できなかったのですが、今回は練習の甲斐もあって、きれいに抜き取ることができました。しかし、抽出棒とサンプルが癒着し、うまくはがれないため、ストローにカッターで切り目を入れて抽出棒とサンプルをそのまま納め、大学に戻ってから慎重に剥がしました。年輪数は60年輪を確認しました。もう少し年輪数は欲しかったですが、このサンプルからどんな値が出るか楽しみです。(白帯)


0709正善院01表門03正面側01
↑↓表門の調書と平面スケッチは教師が担当。採寸から下山した4年女子2名が受け継ぎ、いま3年生がCADで作図中。
0709正善院01表門04妻飾01
↑表門妻飾。明治中期以降の様式を示しており、庫裡もほぼ同年代と推定される。

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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