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仏堂スケッチに感謝(Ⅰ)

思い出の 摩尼

 24日(木)にハーブプロ研の発表会を終えて、翌25日(金)には「住まいと建築の歴史」の最終講義を迎えた。私学時代の「建築と都市の歴史」の焼き直し科目なのだが、結構苦しんでいる。建築用語に対するアレルギーが、予想を遙かに超えて強いのである。建築・環境デザイン学科の学生でさえ用語を苦手としたが、いま受講しているのは環境学科の学生である。自然指向の強い若者たちが集まっており、建築に興味をもつ学生は例外的である。それでも履修登録者は55名(自然系科目の1/3程度)を数えた。そのうち建築に関心をもっている者は3割程度と思われる。
 本年度の開講当初、「建築」に関わる要素を極力排除し、環境・文化の色合いを強くだしていこうと決意したのだが、法隆寺や平等院などに対する感触はわるくないと感じたので、少し建築寄りの内容に振り戻そうとして、結局、転んでしまった。講義は中世の胎動期に向かいつつあった。「重源と大仏様」「和様と禅宗様」の2連続講義で、学生は露骨な反応を示す。とくに後者の講義は「難しい」「用語が分からない」の雨霰になり、頭を抱えてしまった。「来週から楽になる。住宅と庭園に戻るので」と言い訳するしかなかった。それから、「方丈と塔頭」「書院と書院造」「茶室」「数寄屋」と展開して15回の講義を終えた。「方丈と塔頭」「数寄屋」ではDVDも併用した。初めての試みである。
 ホームワークを2回課した。中間試験にあたる時期に「神社本殿の調査」、期末試験にあたる時期に「寺院本堂の調査」をしてもらったのだ。両面コピーの調査シートを与え、表は選択式もしくは記述式回答、裏面は写真とスケッチを貼り付ける。スケッチは必須ではなく、描きたい人だけでよいが、スケッチを描いた学生には加点するというシステム。「神社の調査」のスケッチ提出者は29名であった。そのほとんどを授業中に公開した。学生スケッチの講評が「楽しかった」という感想を何人かが書いていた。次の「本堂の調査」ではスケッチの提出者が40名に増え、最終講義で全作品を公開した。やはり講評が「楽しかった」という感想が散見された。
 わたしも嬉しかった。55名中40名もの学生が寺院本堂のスケッチを描いてくれたのである。これだけ多くのスケッチが集まったのは、たぶん2007年(5期生の2年次)以来のことである。


2-1137101摩尼寺


 突出した描写力をもつ学生が1名いた。神社スケッチ公開のトリとして、彼女の描いた桂木神社「拝殿」をスクリーンに映しだした瞬間、教室にどよめきがおきた。しかし、残念なことに、わたしは「本殿」を要求していたので、その旨伝えると、彼女はうつむいてしまう。レポートの感想欄には「悔しい」と書いてあった。その女子学生が捲土重来で描いてくれたのが、上にアップした摩尼寺本堂である。どうですか、みてください。ヒノッキー以来の筆力ではありませんか!?

 レポートの提出は7月17日(木)。その翌日、摩尼寺本堂・鐘楼・山門の登録文化財内定が報道された。まさに祝砲のようなスケッチであり、これ以上のプレゼントはない。最終講義でそういう話をし、「11月には登録記念のイベントをやる予定だから、このスケッチをチラシに使うよ。論文や報告書にも使わせてもらいます」と公言した。
 学生のホームワークは、返却希望のある場合、返すことにしている。「返却しなくていいの?」と訊ねると、彼女ははにかみながら「いいです」と答えた。
 幸福な最終講義になりました。ありがとう!



ジブリ最後の作品?

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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