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仲村家住宅

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珈琲の株

 十数年前、家族で沖縄を訪れた際、ヤンバルの山中をレンタカーであてもなくうろうろした果てに、山中の喫茶店で休憩した。店主はヤンバルで珈琲豆を栽培しており、その豆を炒って淹れた珈琲をだしてくれた。
 そのとき、「株主になりませんか」と誘われた。ヤンバルに栽培している珈琲の樹1本のオーナーにならないか、というお誘いである。たしか1万円払えば、一年の収穫豆が送られてくることになっていた。貧乏だった私は、そのお誘いを断った。断らなければよかった。バチがあたって、シアトルで買ったマリナーズの野球帽をその店に忘れてしまったのだ。
 こんどこそ株主になろうと心に決めていた。ネットで情報を集め、それらしきお店に電話したところ、「2年前の台風で珈琲の樹が根こそぎやられ、いまや豆の備蓄すらなく、ブラジルから輸入した豆で珈琲をだしている」という。


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股木の歴史的意義

 行く宛を失ったわたしたちは、タクシーの運転手が教えてくれた「ナカグスクがいいよ」というアドバイスだけを頼りに、カーナビの目的地をセットした。「琉球王国のグスク及び関連遺跡群」の一つとし、平成12年(2000)、ナカグスク(中城)は世界文化遺産に登録された。渡名喜の重伝建選定とくしくも同じ年である。
 ナカグスクが所在する中頭郡北中城に向かって国道を走っていると、まもなく重要文化財「仲村家住宅」のサインボードが目につき始める。ナカグスクのすぐ近くに仲村家住宅(18世紀中期)はあった。渡名喜でたまたま「民宿ふくぎ」を選んだら再生古民家であったのと似ている。人間の歩む道筋は、自らの意図とは無縁のなにかが決めているように思えてならない。


アナヤーの股木



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 十数年前にも仲村家住宅を訪れた。あのときは修理の真っ最中だったが、ずいぶん小綺麗になっている。二つの発見があった。おそらく、琉球地方の民家建築の古い要素であろう。
 一つは股木の柱。ウフヤ(母屋)とメーヌヤー(家畜小屋兼納屋)の庇の隅(端部)に用いられている。ご存じのように、八重山などのヌキヤーでは股木の中柱(掘立柱)1本で棟木を支える。この中柱のスタイルがヌキヤーの一部に残っているということだろう。股木については、ただ原初的な棟持柱としての意義だけでなく、軒をささえる組物の起源としてもとらえうる点に注意すべきと思っている。もっと具体的にいうならば、股木こそが双斗の原型ではあるまいか。


柱の株

 いまひとつは柱の基礎に根株を残す点である。こちらは、イフガオの高倉の柱と同じである。より古いのはイフガオの方でろう。根株を幅広く残し、硬く叩きしめた基壇上におく。仲村家の場合は、底面の面積を小さくして礎石の上に柱を立てる。
 イフガオを訪問したからこそ気づいた点である。琉球から台湾・フィリピンにかけて共通の建築原理があった。オーストロネシア的な文化なのか、否か?


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1226仲村家055 1226仲村家02高倉01
↑(左)風水池 (右)高倉

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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