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第3回れきまち研究会「まちの里山資本主義」の記録(1)

第3回れきまち研究会 第2部「まちの里山資本主義」

 講演者:  天野博之(河原町の文化を守る会)
 会 場:  天野種苗店ビニールハウス
 日 時:  平成27年3月1日(日)14:00~


 ○司会: それでは、天野博之さんに「まちの里山資本主義」と題するお話をしていただきます。天野さんとは去年(2014)の夏から面識を得まして、最初はこのビニールハウスの外庭でインタビューさせていただきました。まちづくりに対する強い想いを聞かせていただけたのですが、面識を深めるにしたがって、一体この人は何者やと思うようになりました。突然ドイツ語をしゃべり始めたり、司馬遷の『史記』を白文で読んでいるとか、自由律の俳句集団を組織して同人誌を出してるとか、ついに明後日はNHK広島の番組にも出演されるとのこと。謎の大人(たいじん)であります。
 「まち」と「里山」は真反対の概念のようにも思うのですが、その矛盾がどのように融合しているのか、講演をたいへん楽しみにしています。では、よろしくお願いいたします。


河原町の文化を守る会

 ○天野: こんにちは、天野です。「河原町の文化を守る会」(以下「文化を守る会」と略)のメンバーの一人として今日はお話をさせていただきます。この町には、私よりはるかにすぐれた方が綺羅星のごとくいらっしゃるのに、なぜか私が話をすることになってしまいました。よろしくお願いします。
 まず「まちの里山資本主義」との出会いを簡単にお話しさせていただきます。「里山資本主義」という言葉は最近マスコミでいろいろ取り上げられています。私、以前出張先でたまたまこの本(藻谷浩介・NHK広島取材班『里山資本主義』角川新書・2013)を買い求めました。その後かなり売れたらしく、新書大賞2014年の第1位になり、今も版を重ねているようです。お読みになった方もいらっしゃると思いますが、なぜわが町の動きが里山資本主義になぞらえられるのかと言うことと、「文化を守る会」の動きを重ね合わせてお話させていただきます。
 そもそも、「文化を守る会」というのは一体何なのか。この会は公民館とはまったく別組織の任意団体です。公民館は町内を班に区割りして班ごとに班長や部員を強制的に出して町の活動をしていく組織です。一方、「文化を守る会」はそういうシステムとはまったく違っていて強制的なところはなく、河原町には12の班があるのですが、班によっては一人も会員を出していない班もあれば一世帯で数名参加しておられる班もあります。では一体どういう人が参加しているかと言いますと、河原町を何とかよくしたいという意識の高い人が参加しておられるように私は思います。そして、ついでに言いますと河原町の「バカもの」であると思います。

「バカもの」集合!

 「文化を守る会」ではどんなことをしているのかを次にお話しします。毎月第3日曜日にお地蔵さんの掃除とお詣りをして賽銭を回収します。従来、8月23日の地蔵祭(地蔵盆)を開催していたわけですが、「年に一度だけではつまらん、毎月やろうぜ」という声に河原町の「バカもの」が集まって来たのです。年に一度ではつまらん、とはどういうことかと言いますと、東京の巣鴨にジジババの原宿と言われている「とげ抜き地蔵」があって、毎月縁日をやっているのかどうか知らないのですが、とにかく随分賑わっているらしい。あんなふうにここでも何かやれば人が集まって来るんじゃないかという話が出ました。「文化を守る会」の馬田会長以下数名の人が何かをやろうと声を発したら何人かの人が集まって来て現在に至っています。回収した賽銭はお地蔵さんに関すること、たとえば、お地蔵さんの線香やロウソク、花立てなどの備品だとか、地蔵祭に使う鐘や数珠が壊れた時の修理、祠の修復が必要な場合などに使用しています。つまりお地蔵さんと地蔵祭を維持するのに必要な資金に充てています。
 お地蔵さんの掃除とお詣りの後で「地蔵ふれあい市」を開催しています(以下「ふれあい市」と略。1月と2月はお休み)。主に野菜を販売していますが、野菜の仕入れは会長の馬田さんと今日ここにおられる石井さん、小林さんがしておられます。新鮮野菜が安く購入できるということで、大変評判が良いようです。ふれあい市だけではなく、春(3月)、秋(10月)、冬(12月)にも地蔵祭を、「文化を守る会」が企画・実行しています。
 また、町内の長老のみなさんから河原町の聞き取り調査をしたり、町内のお宅に眠っている古い写真などを集めて町史の編纂をしてみたいという意見も会員から出ています。



まちの里山資本主義

 さて、いよいよ本論に入ります。なぜ「まちの里山資本主義」なのか。ふつう資本主義と言えばマネー資本主義のことをさします。つまり、お金を使ってさらにお金を儲けていくのがマネー資本主義。マネー資本主義に対して里山資本主義というのがもう一つある。ところで、ここ河原町は決して「里山」ではありません。なぜ私たちの町が里山で、これからお話ししようとしている活動が里山資本主義になるのか、ということなんですが、取りあえず里山の定義をしておきましょう。里山といえば、普通、山があって燃料に木を切って風呂をたいたり、山にキノコをとりに行ったり、山を流れる渓流からヤマメを釣って食べたり、シイタケを栽培したりすることのできる山間~中山間地域だと思うのですが、繰り返しますけれども、河原町はそう言う場所ではありません。鉢屋川の鯉を曳きあげて食べるなんてことはしないわけです。では、どこが私たちの「まちの里山資本主義なのか」をお話ししましょう。
 藻谷浩介他『里山資本主義』(2013)に書いてあるのですけれども、里山資本主義とは、まずすでにあるものを使う。新たに何かを購入したり他所から新たにもってくるのではなくて、すでに今あるものを使うということ。そして、埋もれているもの、私たちが気づかずに見過ごしているものを掘り出す。すでにあるものから新たなものをつくり出す。そして、何より重要なことは、そこに集う人こそが里山資本主義の原資である、という考え方です。私たちの町は里山ではないですけれども、この本に書かれている里山資本主義の発想と、私たちの活動、そして私たちの目指すものの根幹が非常によく似ているということをふまえて、私たちの「まちの里山資本主義」という演題を設定したのです。

いつかお星さまに

 昨日(2015年2月28日)、NHK土曜ドラマ「限界集落株式会社」(全5話、原作は黒野伸一『限界集落株式会社』小学館・2011)の最終回が放映されました。ごらんになった方もいらっしゃると思いますが、限界集落で有機農業を推進する主人公が「結局は人だ、仲間を切ることはできない」と記者会見で主張します。それこそ、先ほどお話ししましたように、ここに集う人こそが里山資本主義の原資であるということを、この番組をみて改めて確認できたようにも思います。
 では、すでにあるものとは何でしょうか。すでにあるものとは屋上屋を重ねるようなことを申し上げますが、東西の地蔵さんです。それから、鉢屋川と川を泳ぐ鯉。それから、空き家。『里山資本主義』では耕作放棄地と表現されていますが、この耕作放棄地を私たちの町では空き家になぞらえることができると思います。耕作放棄地をいかに利用するか、つまり空き家をいかに利用するかということが、我が町の里山資本主義を生かす大きな鍵の一つになるのではないかと思っています。
 それからもう一つ。河原町の人口のうち65歳以上が40%以上を占めます。要するに、この町には高齢者が多いのですが、わたしたちはこれを「光齢者」と表現しています。光齢者というのは頭の毛が薄くなって光っている光齢者ではなくて、心が輝いている光齢者を意味しています。私も高齢者の予備軍です。やがて心が輝く方の光齢者になりたいと思っています。最終的に光齢者はどうなるかというと、お星様になることになっています。もっと輝きを放つお星様になると。 【続】

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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